2013年12月6日金曜日

パウル•クレー展

テート•モダン美術館で開催されている、パウル•クレー(Paul Klee)展「Making Visible」に行って来ました。かなり大規模な展覧会で、彼の作品が初期の頃から展示されています。

私は個人的にカンディンスキーの画風が好きなので、同じバウハウス系のクレーの作品でも気に入ったものがあります。特徴として目についたのは、初期〜中期にかけてあまり(絵のサイズとして)大きな作品を作っていないこと。(財政的に苦しかったから?)ペンなどを使い、細かい点や線で描かれたものが多く、繊細な感じ。思わず、虫眼鏡を使って見てみたくなった作品もあります。全体的に、直線的で、立体感のない図柄が多いのも彼の作品の特徴です。モンドリアン的なタイルのような、パズルのような絵も多く、人もかなりデフォルメされて描写されているので、ピカソやミロ、ダリなどの作品が好きな人には受けるかも。後期の作品は、力強くかなり大胆になって来たけれども、図柄が暗号化されたような感じになり、色んな角度から解釈するとおもしろそうな作品がありました。エジプトなども旅行しているので、色使いなど古代文明の影響を受けたような作品もあります。
歴史的な背景の話をすると、当時ドイツではナチスが台頭し、「退廃的な」モダンアートは弾圧の対象となりました。クレーの自宅はナチスに家宅捜査され、クレーはデュッセルドルフ•アカデミーでの仕事も休職となり、バウハウスは警察によって強制的に閉鎖。クレーはその後、スイスのベルンに居を移します。クレーの作品の色使いを見ていたら、何故かその当時の抑圧的な雰囲気、彼のフラストレーションなどが出ているような感じがしました。展覧会としてはとてもよい展覧会でした。

ちなみに、ここでもラッキーな事がありました。入場チケットを購入しようとしたら、カードの機械が壊れていて使えないので現金のみと言われたのです。(入場料は普通に払って15ポンド。)一緒に行った友人も私も、十分な手持ちの現金がない!ATMは美術館の建物の中にないとの事で、職員のお兄さんの一人は、カードのシステムがもとに戻るまでカフェで待っていたら、なんていい加減なお返事。ところがもう一人のお兄さんが二人を学生扱いにしてくれて、二人の手持ちの現金で丁度払える額の14ポンドにしてくれたのです。つまり半額!大宇宙に感謝。イギリスのアバウトな所(?)にも感謝。





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