2012年10月31日水曜日

ハロウィーン


今年もハロウィーンがやって来ました。元々イギリスはアメリカほど、ハロウィーンの行事を大々的に行う習慣はなかったのですが、最近は日本のクリスマスのように娯楽化、商業化されたイベントとして楽しむ感じが強いようです。


お店には、食用でなく、中をくり抜いて提灯(ジャック•オ•ランタン)を作る為のおっきなカボチャが並び,ハロウィーンのシンボル•カラーであるオレンジと黒の色のついたお菓子や蜘蛛、コウモリ、骸骨などの飾りが売られています。

パブやレストランなどの飾り付けもハロウィーン調になる所も多く、夜、ホラー映画の登場人物のように仮装してハロウィーンパーティやパブに行く人達も登場。仮装した子供達も「トリック•オア•トリート」と、お菓子を貰いにご近所の家を訪ねたりするのもアメリカと一緒。(アメリカのように銃で撃たれる事件は発生していませんのでご安心を。)

その一方で、原理主義のキリスト教信者は「ハロウィーンは異教徒の祭り」なので、そういった行事には参加しないし、またテーマがテーマなので悪魔崇拝に結びつける人達もいて、イギリス人の間でもハロウィーンを祝う事は賛否両論です。

元々ハロウィーンは、ヨーロッパにいたケルト人の信仰に端を発すると言われ、日本のお盆のように10月31日は死者の霊や精霊、魔女などが現れる日と信じられていました。つまり、この世とあの世の境界が曖昧になる時なんですね。収穫期の終わりと冬の始まりを示すケルトの祭りサムヘインと、ローマの死者の祭りが合わさったものという説もあります。更に、11月1日の全ての聖人と殉教者を祝うキリスト教(カソリック)の万聖節(諸聖人の日)とも繋がってしまったようです。

こうして考えると、今私達がお祝いしている行事の中には、長い人類の歴史の中で他の習慣や祭りとかけ合わさり、名前は同じでも本来の意味と違って来てしまっているものが多いのかもしれませんね。

ちなみにバシャールによると、ハロウィーンの起源はアトランティスの崩壊を追悼する行事だそうです。


2012年10月20日土曜日

服役囚のアート

ロンドンのサウス•バンク•センターという所で、恒例の「服役囚、触法精神障害者、入管施設の拘留者によるアート」展が11月25日まで開催されています。(http://www.koestlertrust.org.uk/) コースラー財団主催のもので、今年は50周年を迎えたそう。毎年ロンドンの中心部で世の中の日陰の存在の人達が制作したアートが、展示/販売されていると知ったのは、アートセラピーの勉強をしている時でした。

私自身は以前、お仕事でそう言った方々に関わった経験があり、刑務所や精神病院の拘禁病棟、入管施設の中の状態を知っているので、彼らが社会復帰の目的というだけでなく、自由のない環境において制作活動に携わる重要性というのを痛感していました。人権云々の問題というより、まずイギリスでは再犯率が高く、収監施設に戻って来る人が多いという現実があります。(この話を始めると育児と教育の制度の話しから始めなければならないのですが•••)。つまり、収監施設が収監するだけになっていて、システムとして機能していないという事なんですね。

サウス•バンク•センターに展示されている作品は数多くの応募者の中から選ばれた作品なので、芸術性も優れています。でも、私が注目したのは、売る事を目的として普通のアート•ギャラリーに展示されている作品に比べて、ものすごくはっきりと感情表現が出ている作品が多くある点です。彼らの多くは、自分たちが「アウトサイダー」である事を自覚していて、その感情が露骨に表れている作品が多いのです。その分、おどろおどろしい作品もあり、私の友人の何人かはそういった作品は気持ちが悪いので見たくないと言います。

大学院でのアート•セラピーの勉強で余り良い思い出はありませんが、今振り返って役に立ったと思うのは、患者さん達が描いた「おどろおどろしい作品」を見る事に慣れ、それでも患者さん達の感情を汲み取り冷静に接する事が出来るようになったと言う事でしょうか。(これは日常生活でニュースなどの気持ちの悪い映像を観た時などにも役に立っていますが)

移民が多いイギリスなので、当然収監施設に入っている人達も二世、三世の人達が多く、文化の違い、ある宗教特有の表現なども展示されている作品に表れています。

こういった展示会が増えてくると、何故、犯罪者と呼ばれる人が作り出されるのか、どうしたら犯罪行為に走る事を防げるのかを考える機会も増えて行くのではないでしょうか。彼らは、怪物でもなく、同じ人間であり、私達とはまったく関係ないとは言えないのです。

2012年10月14日日曜日

ネイティブ•スピリット•フェスティバル2012

アズテカ•ダンス
ロンドン大学の東洋アフリカ研究校SOAS (School of Oriental and African Studies)で、12日から19日まで、ネイティブ•スピリット•フェスティバル2012が開かれています。(http://www.nativespiritfoundation.org/


アメリカやスペインと比べ、イギリスにはそれ程多くの北•南米大陸出身の先住民族の方は住んでいないようですが、それでも、毎年しっかりとその存在をアピールしています。このフェスティバルでは、文化の紹介(ダンスや楽器のワークショップ)だけでなく、先住民族の人達をテーマにした映画なども上映。工芸品も販売しています。

彼らの国がキリスト教化される前から受け継がれている、自然を敬う姿勢、世界観は、日本の古神道の概念と繋がる所があり、私達日本人にはとても受け入れやすいと思います。残念ながら、ヨーロッパはキリスト教化される過程で、もともとあったケルトや北欧のサーメなどに代表されるような自然崇拝の信仰が人々の生活から押しやられ、また中世の魔女狩りの時の記憶が集合意識のレベルで深く残っている為、自然崇拝がオカルトと誤解されたりして「怪しい」と思っている人も多いようです。(某有名スピリチャル•カウンセラーの方が、イギリスはスピリチャル大国と言っておられましたが、そうでもないというのが私の印象です。)

2012年12月にはマヤ暦が終わると言われていますね。一つのサイクルの終焉。今まで、先住民族の方達が置かれてきた状況を考えると、この機に彼らの苦しみも終わり、彼らの古代から伝わる叡智が広く認められる事を願います。
大英博物館中米部門に展示してある石盤

2012年10月10日水曜日

海からの贈り物

暫くブログをお休みしていました。いきなり日本行きの飛行機の運賃が下がり、急遽一時帰国していたからです。やっぱりピン!と来た時は行動に移すのみ。大宇宙からのメッセージだったようで、そのせいか結構内容の濃い一時帰国で、ロンドンに戻って来てから、時差の関係もあるのでしょうが眠くて眠くて、完全にスローダウンしていました。

今回の一時帰国の目的の一つはスキューバ•ダイビングの資格を取る事。昨年バハマから帰って来てから海ともっと関わりたくなり、近くにある小さなスキューバのクラブに顔を出したのですが、やり方が合わず脱落(笑)。イギリスは日本と違い、夏でも海で泳ぐ人が少なく(寒いですから)、ましてや国内でダイビングなんて一部の(お金持ちの)人間かプロのダイバーがする事みたいな感覚で、ダイビング•ショップも少なく、簡単に器材をレンタルするシステムがないので、初心者でも個人の負担が大きく諦めました。また、潜るスポットも、フランス•ノルマンディーの海岸、第二次世界大戦中に沈んだ船や戦車を見る、というかなりオタクな趣味の方もいて、私はついていけませんでした(汗)。

ダイビングするなら花粉症も治まった今がチャンス!が、ヨーロッパの海は冷た過ぎて、反って自信を無くしてしまいそうなのと、器材やスーツのサイズが日本人の私と合わなくて苦労する可能性あり。また、大西洋で泳いだ後、故郷の太平洋の海が恋しくなったという理由もあります。そんなかんなで友人の勧めで伊豆半島に行く事を決め、ハワイ島で知り会った方のつてを辿り、富戸にあるダイビング•スクールで講習を受けて来ました。理論はオンラインで済ませ、一日目はプールでの講習。二日目、三日目は実際に海に入っての講習。水温27度でコンディションはパーフェクト。講習生は私一人だったので、マンツーマン。普段から泳ぎや素潜りの練習をしていた効果を実感。先生にも恵まれ、パニクる事なく、しっかり習得。二日目から台風が来るので海が荒れだし、無事終了出来るかしらと思ったら、北東の風を避け西伊豆に出て講習を続行。(流石地元の方は良く知ってらっしゃる•••)穏やかな海に守られ、無事資格を取得しました!
伊豆の良いところは、どこにでも温泉があって、一ダイブ終わると、海辺で温泉に浸かって暖まれるという事。(こんな素敵な施設はイギリスには無い!)ダイビング•スポットでのサービスもスムーズで、システムが確立されている感じ。やはり日本はダイビング大国だと実感。日本人、やっぱり海が好きなんですねぇ〜。

今回は、伊豆では他にサーフィンもトライする事が出来、おいしい海の幸に舌鼓を打ち、海絡みで新しい繋がりも出来たりと、いい事づくし。本当に伊豆で出会った方々には良くして頂きました。昨年のバハマから、今年のハワイ、アゾレス、伊豆と、行く先々で素敵な人達と知り合い、どんどん新しい世界が広がって来ています。海からの贈り物とはまさにこの事。

ちなみに、私が滞在した富戸はイルカ漁が行われていた場所で、それに反対して、イルカウォッチングを始めた石井泉さんと言う漁師さんがいらっしゃいます。石井さん自身、以前はイルカ漁をしていたそうで、こういった事がきっかけで、私達のイルカに対する認識がどんどん変わって行けばいいなと思います。
懐かしの富士山!