2013年2月18日月曜日

イギリス病院事情


「ゆりかごから墓場まで」という言葉を聞いた事があるでしょうか。イギリスの良い所は、National Health Service(国家医療サービス)がある事というのがずっと言われて来た事でした。医療費が国費(税金)で賄われているので、無料。(薬代だけは、生活保護を受けている人以外は払う仕組みですが。)生まれた時から死ぬまで国が面倒をみますよ、という事で、国民皆健康になるという希望の下に作られた制度だったようですが•••。2月14日付けのニュースでこんな記事が。

http://www.channel4.com/news/hospital-waiting-times-hit-decade-high-in-a-e
英語なので、要約すると、調査した結果、昨年10月〜12月の間、23万2千人以上の患者が救命救急センターで平均4時間以上待った事が判明し大きな問題になっている。


これを読んで、あーあ、やっぱりなって感じでした。救命救急センター、こちらではA&E (Accident & Emergency、アメリカのER。)と呼ばれていますが、対応の悪さはずっと問題になっていたのです。私も数年前、自閉症の子供と仕事をしていた時、服の上から子供に思いっきり咬まれ、家へ帰る途中気がついたら出血していたので、イギリス生まれの子供だから予防接種とか打っているだろうけど、念のためと思い、夜間だったので、家の近くのA&Eに行ったのです。受付と待合室は、野戦病院のような雰囲気(うちはちょっと治安の悪い区域にあります)。まず、待つ事2時間。やっと看護師さんに診てもらえると思いきや、だだの問診。

「人間の咬み傷かい。」

「はい。あのこれから実際にお医者さんに診てもらえるまで、どれくらかかりますか。」

「まあ、最低でもあと2時間はかかるね。」

「えぇ!そんなに待てません。じゃあ、取り敢えず消毒だけしてもらえますか?」

「僕は、問診専門の看護師なんで、治療出来ないんだ。この部屋には消毒薬もないんだよ。」

「消毒薬すらないんですか!?」(ひぇぇぇ〜、ここは病院•••)

「明日、GPの方で診てもらったらどうだい。」

あの換気の悪い野戦病院のような環境で、あと2時間も空腹のまま待つ事は無理。家に帰り、傷が悪化しないよう願いながら、うちにあった消毒薬で咬み傷を消毒しました。

日本だと、地域に内科、外科、胃腸科などそれぞれの専門医がいますが、イギリスでは、まず、住んでいる地域にある総合医(GP- General Practitioner)に登録します。内科だろうが外科だろうが、まずGPに診てもらう。そこで対応出来ない場合、専門医や総合病院の方に照会されます。

が、このGPもくせ者。だいたい、一人の医者が医療の全分野での知識がある訳なく、私も怪しいお医者さんに何回も当たっています。(総合病院へ照会状を書いたというのに、書いてなかったり。)知り合いの日本人男性は、腰が悪いので診てもらったら、(腰の)左右の高さが違うので、片方だけ「ぽっくり」みたいな靴を履いたら治ると言われて、解せないので、日本に帰って再度お医者さんに診てもらったら椎間板ヘルニアだったというとんでもない話もあるくらい。

以前お会いした、ロンドンの総合病院で働く日本人看護師さんは「この国の看護師、仕事しない、汚い」と呟いていました。社会主義的な色合いの強い制度なので、仕事のペースがすごく遅い。そう言えば、数年前、病院の中が汚いので、院内感染とか多発して問題になっていたし、病院のベッド数が足りず、癌患者も数ヶ月待たせるという話も聞きました。

こちらでは、歯医者さんにもいい思い出がなく(日本の歯科技術が素晴らしいので見せ物になった事が数回•••)、歯科検診は日本に帰る度に、日本の先生にお世話になっています。

私が普段、健康対策に力を入れているのも、健康でハッピーなのが一番と思っている事もありますが、この国で医者の世話になるのは避けたいという理由もあるのです。

結局、医療費がただでも治らない。お金を持っていても病気になるし、治るとは限らない。それだったら普段の生活に気をつけ、病院の世話にならない方が高い保険費の心配もないだろうと思うようになったのです。

日本の人の間では、イギリスの医療制度は素晴らしいという神話があるようですが、もうそれは崩壊しています(笑)。医療費がただなので、どうせ病気になっても医者が治してくれるだろうと思うのか、結構健康管理に無責任になっている人達がいっぱいいます。本末転倒とはこの事。

今度、時間があったら、私が精神病院で働いていた時の話を書こうと思います。


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